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かつて信州・高遠藩が将軍家に献上した蕎麦・寒ざらし。
秋に収穫した蕎麦の実を一月頃の厳冬期に極寒の清流にさらすことで、アクを抜き風味と甘味を増す、そんな幻とも言えるほど希少な蕎麦を大阪の地で再現したのが、かつて河内長野で店を営んでいた『芦生』だった。
二〇〇一年に中本美恵子(なかもと・みえこ)さん・裕造(ゆうぞう)さん姉弟が開いた蕎麦店は、国産蕎麦・自家製粉・十割の味わいへの追求とどまるところを知らず、北海道・福井・大分・鹿児島と国内各地の産地を巡り、味を試すのは日常茶飯のことだった。
そんな中で耳にしたのが寒ざらし蕎麦。それは二〇〇五年が終わる頃。
「美味しいに違いない。絶対うちで出したい」そう確信した美恵子さんは年が明けるとすぐに、ほぼ一年分の蕎麦一トンを携えて信州へと向かった。
止めなかった蕎麦打ち担当の裕造さんも偉いが、なにより感心するのは二人の度胸。
試食すらしていない寒ざらしに賭けたカンは正しかったと胸を撫で下ろすのは約一ヶ月後のことである。
そんなチャレンジ精神のたまもので、河内長野に寒ざらし蕎麦がお目見えする。
ほんのり緑がかった美しい色、穀物の持つこうばしい香りに鼻が引き寄せられ、口には甘さが広がる。
つゆや薬味をつける前に、まずは岩塩など四種をブレンドした塩で味わって欲しいと言うのも納得だ。


「脱穀して取り除けなかった殻をひとつひとつピンセットで取り除くのに二時間もかけるのはどうなん」と美恵子さんが突っ込めば、「しんどくてもやったほうが美味しいからね」と裕造さん。
とはいえ、美恵子さんもそばがきで作るコロッケが評判のあまり、作り過ぎて腱鞘炎になりかけたこともある。
どっちもどっちの熱中ぶりは、『芦生』の味をきちんと作り上げてきたのだと実感させられるエピソードだ。そんな姉弟は〈なんばこめじるし〉へとやって来るにあたって、潔く河内長野の店を閉めた。
「うちの味はひとつの店でこそ出せるもの。ふたつもなんて欲張ることは僕らにはできひんからね」とあっさりと言うあたりに、絶対の自信が垣間見えて頼もしい。
もちろん一日限定十食の寒ざらしに出会えなくても残念がる必要はない。もりそばも、香りの高さには驚かれずにいられない絶品なのだから。
| 寒ざらしそば 芦生 |
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| 電話 | : | 06-6644-2751 |
| 営業時間 | : | 平日 昼11:00~15:00 夜17:00~23:00(LO22:30) 土日祝 11:00~23:00(LO22:30) |
| 定休日 | : | 無休 |
| ※営業時間、定休日につきましては、都合により変更となる場合がございます。 | ||