

なんばCITYの新しいフードエリアに名前をつけて欲しい・・・僕に依頼してきたのは、友人でもあるケイオス社の澤田充さんでした。施設の名前は半永久的に残るわけですから、非常に重要な仕事です。軽々しく引き受けるわけにはいきませんが、友人が心を込めて形にしてきたプロジェクトの最後の仕上げです。僕は今回、仕事として、というよりも、友人である澤田さんに「うちに子供が生まれたから、その子供に名前を付けて」と言われたつもりで引き受けました。
さて、名前をつけるに当たり、まず何をしましょう。それぞれのお店にそれぞれのドラマがあるわけだから、この土地の中にもきっとなにかの物語があるに違いない・・・そう思った僕は、土地の歴史を紐解いてみることから始めました。するとその昔、この場所に米蔵があったことが分かりました。
「米」を別の言葉にすると「めし」。「めし」はつまり「食事」。フードエリアを表すのにぴったりです。しかも僕たち日本人は、重要なものにしるしを付けるとき、「※=こめじるし」という記号を使います。
人々を幸せな気分にするおいしい料理たちが、この難波でひとつの「しるし」となりますように・・・そんな思いを込めて僕は「なんばこめじるし」と名付けました。
「なんばこめじるし」は、ぜひ「なんこめ」と呼んであげてください。完成された有名店ばかりが揃っていると言うよりは、ちょっとデコボコした可愛らしさ、チャーミングな親しみやすさを、その響きに感じませんか?そういう意味でも、「なんこめ」という愛称はここにピッタリだと思うのです。
(ナンコメ文庫『皿にこめた人生 そやから食うてみ!』あとがきより抜粋)